デジタル活用の第一歩として、RPAを活用した製造データの全社共有を進める

- 導入の背景:生産管理業務において、繰り返しの多い単純なデータ処理作業に多くの時間と労力が割かれており、その自動化が喫緊の課題であった。
- 導入後の効果1:これまで手作業で行っていた煩雑なデータ処理業務が自動化され、大幅な時間短縮と効率化が実現した。
- 導入後の効果2:受注データ処理(納期回答、部品調達、外注加工依頼、作業指示書発行)、生産管理のためのデータ展開、品質管理のためのデータ分析と資料作成などが迅速に行えるようになった。
導入の背景
株式会社阿部工業(以下、阿部工業)は、金属製品の精密板金加工及びプレス加工に特化した企業である。生産管理部の破入氏の業務においては、EDI発注データの基幹システムへの取り込みや、基幹システムからのデータ抽出と各部署への分類・提供といった、単純なデータ処理作業が大きな負担となっていた。これらの作業はRPAによる自動化が望まれていましたが、具体的な効果が見えにくく、導入への動きは鈍い状況であった。また、破入氏自身はIT専門家ではないため、高度なIT知識を必要とする自動化は困難であり、現場担当者でも容易に扱える自動化ツールの必要性を感じていた。
導入効果
RPA導入によって、生産管理業務において顕著な効果をもたらしている。まず、EDI受注データの基幹システムへの取り込みや、基幹システムからのデータ抽出、各種資料作成といった煩雑なデータ処理業務が自動化され、大幅な時間短縮と効率化を実現した。
また、受注データ処理、生産管理のためのデータ処理、品質管理のためのデータ処理、経営報告資料の作成など、多岐にわたる業務がRPAによって効率化され、迅速な業務遂行に繋がっている。実用開始から半年で200を超えるシナリオが作成され、これらを組み合わせることで、以前は手作業で行っていた繰り返しの多い作業が自動化され、業務全体の流れがスムーズになった。
今後期待すること
阿部工業はRPAの活用をさらに深化させ、生産現場全体の効率化と情報共有の促進を目指す。
直近のテーマとして、RPAによる自動データ処理とデジタルサイネージを連携させ、最新の生産状況をリアルタイムに現場作業員全員で共有できる仕組みの実現を目指しています。これにより、これまで現場リーダーのみが把握していた各部署の予定や負荷状況が可視化され、社員一人ひとりが状況を理解し、それぞれ意見や考えを持つことで、より一層のチームワーク向上に繋がることを期待している。
また破入氏個人の視点で見ると、RPAによる業務の自動化を通じて、時間的な余裕を生み出し、より創造的で質の高い、自身にしかできない業務に注力したいという強い意向がある。自身の業務改善から始まったRPAの取り組みを、会社全体の業務改善へと広げていきたいという意欲も語る。
さらに、RPAというデジタル技術を積極的に活用することで、生産プロセスの見える化と変革を進め、社員の意識改革と組織全体の成長を目指していく。

企業情報
株式会社阿部工業
代表取締役社長 | 阿部 貴之 |
事業内容 | 金属製品の精密板金加工及びプレス加工 通貨関連機器・半導体関連機器・医療関連機器・航空宇宙分野・食品加工関連の内外装部品の板金加工 |
資本金 | 1,000万円 |
創業年月 | 1973年4月 |
従業員数 | 40名 |
本社所在地 | 〒959-0111 新潟県燕市横田11261 |
企業サイト | http://www.abekohgyo.jp/index.html |